「腹は痛いが人生を楽しく!」というモットーを掲げている私は、国の難病指定にもなっているクローン病患者。
病名の確定診断がされてからは5年ほどですが、その3倍くらいは腹痛人生を歩いてきました。
これからその経験とか考えたこととかを、記事にしていこうと思います。
今回は手始めに、クローン病についての簡単な説明と私の場合とをまとめてみました。
そもそもクローン病とは?
簡単に言うと、口から肛門までの消化器官に慢性的な炎症をおこす病気。
クローン病とは、口腔内、小腸、大腸など、消化管のいたるところに慢性的な炎症をきたす病気です。潰瘍性大腸炎とならび、代表的な炎症性腸疾患の一つとして知られています。
引用:メディカルノート
10代や20代といった若い年齢で発症してしまう人が多く、割合としては男性の方が女性よりも多いというのも特徴の1つ。
私が今思い出してみて、あれがクローン病のはじまりだったのかなと思う症状は「キリキリとした慢性的なみぞおちの痛み」と「口臭」です。
時期は高校受験を控えた15歳(中3)の秋ごろ。
「みぞおちの痛み=胃の痛み=単なる受験のストレスかな」と思い、病院に行くなんて考えもしませんでした。
それよりも嫌だったのは思春期真っ直中での「口臭」ですね。
はじめは自分でも分からなかったんですが、母親に指摘されたときはもうショックで。
こまめに歯磨きしてマウスウォッシュもして気をつけているのに、どうも臭う。
今思えば、あれが内臓が発している病気のサインだったんだと思います。
発症する原因と症状
いくつか原因となる説も発表されていますが、現在もはっきりした原因は分かっていません。
クローン病の発症メカニズムは、2017年現在、完全にわかっているわけではありません。しかし、遺伝的な要因や環境要因、腸内細菌叢 の変化などが複雑に絡み合い、異常な免疫応答を引き起こした結果、消化管の炎症が起こると考えられています。
引用:メディカルノート
家族や近い親戚にクローン病の人はいないので、私の場合は遺伝的な関係はないのかなと思ってます。
そしてクローン病の基本的な症状は、主に慢性的な腹痛と下痢です。
他にも食欲不振・体重減少や全身のだるさ、口内炎や貧血などがありますが、症状の程度や有無は個人差があります。
私は今のところ、薬や点滴などである程度の症状をコントロール出来ていますが、ジンジンじわじわくる慢性的な腹痛と下痢がツライ……!
結局、食事には(不良患者なので出来るだけ)気をつけないといけないし、外出するときは特にトイレの心配は避けて通れません。
食事やトイレを気にしながらの生活は、結果的に交友関係が狭くなりがちなのも辛いところです。
段々と嘔吐の症状も
中3の秋ごろから自覚し始めた「キリキリしたみぞおちの痛み」と「口臭」。
年末になってくると嘔吐の症状もみられるようになってきました。
学校で吐くなんて本当はしたくなかったんですけど、どうしても嘔吐が抑えられないときは、滅多に生徒がこない別校舎のトイレまで我慢して吐いていました。
これはとにかく友達にもバレないようにしてましたね。
このときは私自身も受験のストレスぐらいに思ってたので、深刻に考えてませんでした。
ピークに達したとき、39℃の高熱で動けなくなる
受験が無事に終わり、残すイベントは中学卒業という行事のみ。
残りの中学生活をクラスメイトと楽しく過ごすはずでしたが、そんなときに突然の39℃の高熱を出してしまいました。
節々が痛くてベッドから起き上がるのもしんどい。
熱が高いので、かかりつけの病院で薬をもらうことに。
最初の診断は「胃腸炎」
いろいろ問診をして、時期的に念のためインフルエンザの検査もしました。
インフルエンザでもなかったものの、胃の痛みや嘔吐、下血のことも話しました。
そこで出た診断は胃腸炎。
だけど熱が高いので1週間は学校休んだ方がいいということに。
卒業前の1週間を休むことになるとは思いませんでした。
いろいろ検査して「潰瘍性大腸炎」という診断に
無事に中学卒業してから、1度大腸カメラをやってみようとかかりつけの先生に言われていたので、春休み中に人生初の大腸カメラをやりました。
すると、診断が「胃腸炎」から「潰瘍性大腸炎」に変わりました。
難病という言葉には動揺しましたが、このときはいまいち実感がわきませんでした。
少しは落ち着くも調子はいまいち
潰瘍性大腸炎と診断されたものの、お腹がゆるいとか鈍い痛み、ときどき下血があるくらいで高校生活にはあまり支障はなかったように思います。
とはいえ、トイレが近いという問題で運動部はあきらめざるを得ませんでした。
その後、3年間+専門学校の2年間を潰瘍性大腸炎用の治療や検査をしながら、あまり病気のことは考えずに過ごしました。
就職したら体調が悪化
相変わらず、鈍い痛みと若干の疲れやすさやあったものの、成人式を終え、専門学校を卒業し、就職先に近い街へと引っ越しました。
体調のことを考えると不安な部分もありましたが、なんとかなるだろう、とこれから新しい生活が始まることにわくわくしてました。
……ところがそんな希望は早々に打ち砕かれてしまいました。
就職後、1ヵ月もたたずに病状が思った以上に悪化してしまったんですね。
就職した先が衛生面を第一に気をつけないといけないこともあり、いろんな人に迷惑がかかるとは分かっていましたが、どうにも無理だと。
そして私は仕事を辞めて実家に戻ることになりました。
治療しているのに調子が悪いのは難病だから仕方ないのか……
仕事を辞めてしばらくは、体調が悪いのも関係しているでしょうけど何もやる気が起きませんでした。
今思えば、もう少し病気のことを考えて就職先を選べばよかったとは思います。
けれど、10代はあまり病気を考えないことで楽しい思い出ができたのでこれは後悔はしてません。
今回、このタイミングで体調が悪化して仕事を辞めることになったのもこれからの20代は病気のことも考えて、病気と一緒に歩いて行ってくれ!っていうことなのかな、と思うことにしました。
でも、ちゃんと治療してるのに調子はいまいち戻りませんでした。
※今でこそ、セカンドオピニオンとか普通ですけど、かかりつけの先生は信頼してましたし、治療法がない難病ということでこれは仕方ないものなんだ、と思ってました。
何かを食べると動けなくなるような腹痛が襲う
それから2~3年は調子が変わらず、それでもときどき短期のバイトを入れたりして自分の体調を大事にして生活していました。
それも両親の理解と支援があってのことです。本当に感謝です。
やがて、変わらない調子の中に、みぞおちに差し込むような強い痛みが出るようになってきました。
固形物を食べると、食べた直後にみぞおちを抑えてうずくまらないと耐えられない痛みでした。
※この頃は、痛みや何かの症状が出ても「難病だから仕方がない」という変な思い込みがあったように思います。
でもあんまり辛いので別の病気の可能性はないのかを探っていたときもありました。
今思えば、この痛みは狭窄の痛みだったんだなと分かります。
体重がみるみる減っていく
みぞおちに差し込むような痛みを自覚してから、食欲も減った感じです。
食べると痛いのであまり食べたくない。でも食べるのは好き。
食べないと体力も減ってしまうので、食べられるものは頑張って食べました。
※この時点で本当はもう食べたり飲んだりはダメだったんだなぁと。食い意地が張ってるのもあって、痛みに耐えて食べてました。
本当に危険なことしてました。
お腹だけがふくれている
食事量が減ってるな、というのは分かっていましたが、ある日から一気に体重が減っていくことに驚きました。
食べているのに減る。めっちゃ減る。
そして右の下腹が異様にふくれているのに気づきました。
便が出そうな感覚はあるのに出ない
そしてある夏の日の夜。
いつものように便が出そうでトイレに行くも、今回に限って出ない。
まぁ食べてる量が少ないからしょうがないか、と思いつつしばらく座って便が出そうになる感覚が収まるまで待ちました。
腹圧をかけた瞬間、ブチっといったんだと思う
しばらく座ってもなかなかお腹がスッキリせず、このままトイレを立ってもまたトイレに逆戻りだなと思って、ちょっとだけお腹に力を入れてみたんです。
出そうな雰囲気があって、さらにお腹に力を入れる。
――ブチっ。(←個人的な感覚)
※便がつまってたところが開通したのか、多めの便が出ると同時にヤバい激痛と激しい嘔吐が私を襲いました。
死を覚悟した
つまってた便が通過したのをきっかけに、ヤバい激痛と嘔吐に見舞われましたが途切れない痛みの中、気力を振り絞ってトイレを脱出。
立っても座っても横になっても収まらない痛みに、もうどうしていいか分からない。
それでも1ミリも動かなければ激しい痛みは途切れていたのもあって、結局、一睡もすることなく朝を迎えてしまいました。
※本当なら、朝を迎えてしまう前に救急車を呼ぶべきでした。
下手したら本当に腸管穿孔→腹膜炎→敗血症で死んでいたかもしれません。
かかりつけの病院から救急車で離れた町の救急病院へ
今の状態がヤバいことは分かっていながらも、救急車を呼ぶことに抵抗があった私は朝一番にかかりつけの病院に向かいました。
動くたびに激痛で、しかも足が数センチも浮かせられない状態でしたが、母の手を借りて何と病院へ。
先生に診てもらい、レントゲンを撮りました。すると、胃の上部に空気溜まりがある?とかですぐさま救急設備のある病院へいくことに。
かかりつけの病院に救急車が到着し、離れた町にある救急病院に向かう車中で救急隊員のお兄さんが常に血圧や意識を確認しててくれました。
私の身体はもちろん深刻で周りは緊張感でピリピリ。
痛いのは痛いのに、私自身は妙に気持ちがハイになっている感じでした。
CTから緊急手術になる
救急病院に搬送された私はすぐさま来ていた服をすべて脱がされ、そこから尿の管をつけたり、いろいろ準備が行われているのを冷静に観察してました。
そしてCT検査をして、緊急手術の簡単な説明。
意識はしっかりしてたので手術室に運び込まれてからは、手術台に自分でずれて乗る感じでした。
※むしろ手術室にぱっと見で、20人?くらい人がいたことに驚きでした。
とはいえ、このときには結構疲れ切ってて、手術台にずれて乗るときも自分だけ全裸とか気にする余裕はありませんでした。
気づいたらすべて終わってた
麻酔から目が覚めたときには、手術はすべて終わってました。
開腹手術で穿孔したところから漏れ出た便で汚れたお腹の中を洗浄したり、破れた小腸から炎症が強い部分を切って、大腸とつなぎ合わせる手術をしたそうです。
このとき切った小腸の長さは30センチ。
手術を終えた私は開腹手術をしたことによる痛みだけが残り、ひとまず終わったんだと安心しました。
新たな診断は「クローン病」
酸素マスクが外れたころ、執刀してくれた先生から説明があったのは私が「潰瘍性大腸炎」ではなく「クローン病」なのだということ。
どうやら、切った部分の小腸にクローン病の特徴である「縦走潰瘍」があったことからクローン病だと判断されたようです。
その後、お腹を洗浄しきれなかった部分があったので熱が下がらず、1ヵ月後に再手術したりしました。
手術になる前にかかりつけ病院の方でステロイドの服薬を始めてたので、きれいな傷跡とはいきませんが、今ではその傷跡も薄くなりつつあります。
手術後は、クローン病の治療として「レミケード」と「イムラン」を中心に「ペンタサ」も飲んだりしてます。
とりあえず、私のクローン病の症状~確定診断まではこんな感じです。