気ままな放浪女子

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【本レビュー】アリソン

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2002年にライトノベルとして書籍が発売されたアリソンは、何度読み返してもドキドキワクワクする作品の1つ。

 

一つの大陸の物語シリーズ(全19冊)の最初の作品で、「キノの旅」でも知られる時雨沢恵一さんの著書です。

 

この本を知ったのはアニメ化されていたのを見たのがきっかけでしたが、ちょっと見ただけでも魅力的な世界観やキャラクターに引き込まれたのを覚えています。

 

今回はそんな青春アドベンチャーストーリー、アリソンを読んでのレビューです。 

 

簡単なあらすじ

舞台は横に少しだけ長いジャガイモ型の大陸が1つだけある世界。

ここでは長い間、大陸を半分に割るような形で通称「ロクシェ」と「スー・ベー・イル」という2つの連合国が「どちらがヒトとしての始祖か?」を巡る戦いを繰り返していました。

 

季節は初夏。

ロクシェ側の南の国境沿い、3日前に夏期休暇が始まったラプトア共和国の上級学校に通う17歳の少年ヴィルはこの日、ロクシェ空軍の小型飛行機でやって来た軍人で幼なじみの少女アリソンと久しぶりに再会します。

 

近況を報告し合いつつ、地元で有名な「うそつき爺」にお茶に誘われた2人。

お爺さんの真偽不明の身の上話が語られる中で「ロクシェとスー・ベー・イルの間の戦争を終わらせることができる価値のある宝の在処」を知っているという話に興味を惹かれるのでした。

 

詳しい話を聞こうとしたところで、訪ねてきた怪しい役人に連れ出されたお爺さん。

何らかの理由で脅迫されて自ら誘拐された可能性に気づいたヴィルは、アリソンに急かされて攫われたお爺さんを追い掛ける――という流れ。 

 

読んで感じたこと 

主人公の1人であるアリソン(17歳・少女)が、自分の部隊の飛行機でヴィルの学校を旋回して校庭に降り立つ登場シーンは、アリソンというキャラクターを強く印象づける描写のように思いました。

 

加えて遠慮もなしに率先していろいろな物事に突っ込んでいく姿は、いっそ清々しいほど。 

 

その場の空気を読まないアリソンは他人に「こうしたら嫌われるかも」という恐怖心がないというのか、自分にとって特別じゃない相手に嫌われるのは屁でもない、という感じですね。

 

加えて、アリソンとヴィルは単なる幼なじみというだけじゃない強い絆が端々に見えて、こういう関係性っていいなぁと羨ましく思いました。

 

アリソンが幼なじみの枠を越えて、ヴィルへの好意をそれとなくアピールしている姿は思わず応援したくなります。

 

  

また、主人公たちのやりとりの他に注目したいのはこの作品のキーパーソンであるワルター・マクミラン中佐という人。

 

「あの人」=マクミラン中佐だと知ったときの驚き、マクミラン中佐の真実が明かされた後の冒頭のプロローグの独白は重く、胸に迫るものを感じます。 

 

マクミラン中佐が過去にした「選択」について、死ぬ間際まで「本当にそうするしかなかったのか」と自分に問い続けている苦悩の答えが天国で見つかることを思わず願ってしまいました。

 

まとめ 

 終盤でアリソンとヴィルがお爺さんに託された「宝」を見つけてその意味を知ったシーンを読むと、

 

「歴史とは常にいいかげんなものだよ。重要なのは“真実をどうやって伝えるか”ではなく、“何を自分たちの都合のいいように伝えるか”だからね」(アリソンから引用:P55)

 

というお爺さんの台詞が思い起こされて、驚きと納得とで軽く鳥肌が立ちました。

 

この作品はまさにこの言葉に尽きるのではないかと思います。

 

今回もまたスリルな冒険の中にある悲しい切なさを、満足感とともに楽しく読み終えることができました。